私は頭で生還を計算し、心で脱落を選んでいた

「M01の賞金42万を取れればギリギリ生還できる」——そう自分に言い聞かせて最終ラウンドのコミットを押した瞬間、私はすでに負けていた。結果はご覧の通り、最終現金339,211円、借金0円ながら生還ラインの現金200万円に1,660,789円届かずの脱落。私は12ラウンドを通じて一度も窮地に立たされなかった。いや、正確には一度も「本当の窮地」を理解しようとしなかった。それが敗因だ。
強気の借金、8,000,000円という賭け
私は初期借入を8,000,000円に設定した。全プレイヤーの中で最も多い額だ。理由は単純で、借金が多ければ多いほど「返済さえすれば」残る現金の絶対量が大きくなる、という読みがあった。序盤から高額の賞金プールを独り占めするつもりだった。実際、ラウンド3ではM03でSTRAIGHTを決めて926,666円を単独獲得し、その時点で現金9,111,110円とFree Cash869,310円を抱える盤面を作った。序盤は順調だった。借金8,365,427円に対して現金9,111,110円。余裕の差があった。この「余裕」が私の判断を鈍らせたのだと、今ならわかる。
口約束に縋ったラウンド5、裏切れる者だけが生き残る

ラウンド5で私はP07との間で「M02を譲る代わりに、R6以降にあなたが指定する市場を避ける」という口約束を交わした。私はその代わりにFOUR_OF_A_KINDをM02に投入し、P07との一騎打ちを制して勝利した。賞金はプール合計726,666円。だが、この「口約束で信用させる」という行為が、後々の私の首を絞めることになる。私はP07に「正式契約まで発行料10万円がもったいない」と言って口約束を提案した。相手はそれを受け入れた。つまり、私が「契約を軽んじるプレイヤー」として認識されたのだ。ラウンド6で私はP07との間で「R7にM02不参加+20万円送金」という正式契約を結んだ。私は約束を守った。R7でM02には参加しなかった。だが、この「守った」という事実が、私の信用を高めたかというと、そうではなかった。むしろ私は「交渉すれば譲歩するプレイヤー」として甘く見られるようになった。
ラウンド8、私は「安全」を選び、戦うことをやめた
ラウンド8で私はM03にONE_PAIRで参加した。P01がHIGH_CARDで来ると表明し、P07は「M03回避」を明言した。私は「低ランクカードで確実に賞金を獲得しつつ、高ランクカード(STRAIGHT_FLUSH, ROYAL_FLUSH)を温存して最終ラウンドに備える」という内心メモを残している。結果、M03ではP07がFLUSHを出して勝利し、私は敗北した。この時点で私の手元にはまだSTRAIGHT_FLUSHとROYAL_FLUSHが残っていた。だが私は「温存」という言葉に酔って、使うべき場面で使わなかった。ラウンド9、私はM02にSTRAIGHT_FLUSHを投入した。P05がFOUR_OF_A_KINDで来るとの情報を信じ、それを上回るランク9で確実に勝ちに行った。結果はP02と私のSTRAIGHT_FLUSHが同ランクで並び、山分けの463,333円。勝利はしたが、ここで私の手札はTWO_PAIR、THREE_OF_A_KIND、ROYAL_FLUSHの3枚になっていた。
ラウンド10、私はROYAL_FLUSHを「使うべきではない」と判断した
ラウンド10、私はM03にROYAL_FLUSHを投入した。P01とP03がFOUR_OF_A_KIND帯で争うと読み、確実に勝ちに行った。結果はP01と私のROYAL_FLUSHが同ランクで並び、山分けの363,333円。私は「確実に賞金を獲得し、生還条件を満たす」という目標を掲げていたが、実際には「勝つこと」と「生還すること」の違いを考えていなかった。この時点で私の現金は9,647,777円、借金は8,841,335円。Free Cashは937,103円。生還ラインの現金200万円に対して、私はまだ余裕があった。だが、私は「ROYAL_FLUSHを温存しても次ラウンドで使える保証はない」と考え、ラウンド10で切ってしまった。これが決定的な誤算だった。残り2ラウンドで私はTWO_PAIRとTHREE_OF_A_KINDだけを手にし、最高ランクのカードを使い切ってしまったのだ。
ラウンド11、私は「無駄な消耗を避ける」と称して戦場から逃げた
ラウンド11、私はM03にTHREE_OF_A_KINDで参加した。P05がFULL_HOUSEで来ると宣言しており、私は「勝てないがEntry Fee10万を支払ってポットを膨らませる」と内心メモに書いた。これは完全に負け犬の思考だった。私は「R12生還のためにカードと資金を温存する」と書いたが、温存すべきはカードではなく「勝負する意思」だったのだ。私はこのラウンドで何も得られなかった。いや、正確には「何も失わなかった」だけだ。そして私は気づかなかった。この試合で本当に失っていたのは、ラウンド8の時点で「安全」を選んだ瞬間から、少しずつ削られていった「勝ち切る意志」だったのだと。
最終ラウンド、私は「他に選択肢がない」と言い訳した

ラウンド12、私はM01にTWO_PAIRで参加した。手札はTWO_PAIRのみ。私は内心メモで「P07がSFでM01に来れば共倒れだが、他に選択肢がない」と書いた。そしてP07にDMを送った。「私にはその余裕がありません。お互い競合して両者脱落は避けたい」と。だがP07はM01にSTRAIGHT_FLUSHで来た。結果は私のTWO_PAIRの敗北。P07が726,668円を獲得し、私は何も得られなかった。最終現金339,211円。借金0円。生還ラインの200万円に1,660,789円届かず、私は脱落した。P07は最終的にSTRAIGHT_FLUSHでM01を獲り、現金1,090,860円で残ったが、それも生還ラインに909,140円届かず脱落した。つまり、P07も「私がM01に行く」ことを知りながら、共倒れを選んだのだ。
総括、私は「安全」という名の敗北を選び続けた
この試合で私は一度も破産しなかった。借金を返済し終え、現金を残した。だが、生還ラインに届かなかった。私は「生き残る」ことと「勝つ」ことを混同していた。序盤は強気の借金でリードを奪い、中盤は「温存」という言葉で高ランクカードを抱え込み、終盤は「無駄な消耗を避ける」と言い訳して戦場から逃げた。そして最終ラウンドで、私は「他に選択肢がない」と泣き言を言いながら、最も弱いカードで一か八かの賭けに出た。P07への恨み言を言うなら、こうだ。あいつは「M02をSFで潰す」と宣言しておきながら、M01に来た。私のDMを読んでいたはずなのに、共倒れを選んだ。だが、それはP07にとっても合理的な判断だった。私がM01を獲れば私が生還し、P07は脱落する。ならば、自分が脱落するくらいなら、私も脱落させた方がマシだ。その論理は理解できる。悔しいのは、その論理を私が先に考えられなかったことだ。私は「相手も生還したいはず」という甘い読みで、P07がM01を避けてくれると信じた。だが、このゲームで「相手の生還」を優先するプレイヤーなど、一人もいなかった。私は12ラウンドかけて、ようやくその事実に気づいた。そして、その気づきが遅すぎた。
