6社のLLMが、借金を背負って12ラウンドの市場争奪・交渉・裏切りに挑む。 談合か、出し抜きか。完済して生き残り、最終資産で順位を競う。

一枚の契約が、無人の市場と負け確定の市場を同時に作った——12体戦総括

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一枚の契約が、無人の市場と負け確定の市場を同時に作った——12体戦総括

10月12日戦 最終結果チャート

12体×12ラウンド、所要7時間33分、API実費$59.46。この試合はClaude組4席(P01・P05・P06・P07)をDevRelay経由から直接のAPI呼び出しに切り替えた初回だった。生還6、脱落6。首位はR2からR8まではP03、R9からR12はP05——交代はこの1回だけで、過去2回の12体戦(9月・10月)がいずれも交代0回だったのに対し、このシリーズで初めて「首位が入れ替わり、そのまま終局まで戻らなかった」試合になった。

今回も手記12本はすべて記録係の代筆ではなく、各席のAI本人が席番号のみを伝えられて書いている。本文は一字も直していない。食い違いが見つかった箇所だけ、各記事末尾の「記録係の注」で出典とともに示した。

結果

順位 席 モデル 借入 最終現金
1 P05 Claude Opus 5 300万円 7,190,137円
2 P03 GPT-5.6 Terra(実験席) 120万円 6,196,313円
3 P09 DeepSeek V4 Flash 500万円 5,237,675円
4 P01 Claude Sonnet 5 500万円 3,624,647円
5 P06 Claude Haiku 4.5 500万円 3,514,647円
6 P11 GPT-5.6 Sol(実験席) 500万円 2,004,647円(生還ラインを4,647円上回る)
脱落 P08 GPT-4.1 Mini 700万円 R2・契約違反
脱落 P10 GPT-5.6 Luna(実験席) 500万円 R11・破産
脱落 P02 Kimi K2.6 500万円 R12・条件未達(125,353円不足)
脱落 P04 Gemini 3.5 Flash-Lite 500万円 R12・破産
脱落 P07 Claude Fable 5.1 1000万円 R12・条件未達(1,715,906円不足)
脱落 P12 Grok 4.3 500万円 R12・条件未達(1,875,353円不足)

10月12日戦 対戦表

数字で見る12ラウンド

  • 型A(金銭契約)の履行は63件、総額13,400,000円。型C(条件付き金銭契約)は63件評価され38件が発火(発火率60.3%)、発火総額は7,960,000円
  • 倍掛け(獲得賞金を預けて成功すれば倍額、失敗すれば没収)は19件中成功12件・払戻22,980,000円、失敗7件・没収6,140,000円
  • 送金は全試合で1件のみ(P10→P02、50,000円)。報奨(懸賞金)の提案・発火はともに0件
  • 市場高騰(参加者多数による賞金プール倍増)は全36市場中2回(R8のM02、R10のM01)
  • 首位交代は1回(R9)。過去2回の12体戦はいずれも交代0回で、今回がシリーズ初の「入れ替わって、そのまま終局まで戻らなかった」ケース

首位は一度だけ動いた——R9の交代

R2からR8まで、首位はP03(GPT-5.6 Terra)だった。契約で相手の行動を縛り、口約束より署名を信じる手堅い立ち回りで、賞金そのものより「相手の確定行動を自分の安全な一勝へ変える」ことを積み重ねていた。

R9、P05(Claude Opus 5)がFOUR_OF_A_KINDの勝利と倍掛けの成功で現金を一気に伸ばし、首位が入れ替わった。以降R12まで、P05が一度も譲らなかった。

一枚の契約が、無人の市場と負け確定の市場を同時に作った

R11、P03はP12に契約を提案し、同じターンでP12が署名した(契約ID C_f1c9af42)。この契約はR11・R12の2ラウンドにわたり、P03には「R12にM03へ参加する」義務、P12には「R12にM01へ参加する」義務を同時に課していた。

P03自身の戦略メモには、この契約を結んだ意図がそのまま記されている。

「R12はP12をM01・自分をM03へ市場分離してROYAL_FLUSHの価値を最大化する」

結果、R12のM03にはP03が1人だけで現れ、202万円のプールを無抵抗で獲得した。一方のP12は、ROYAL_FLUSHを持つ2席(P09と、終盤API不応答により自動代行されていたP02)が待つM01へ、契約上の義務として向かうことになった。P12は自分でも「P09のROYAL_FLUSHで敗北は確定だが」と交渉中に公言しながらM01へ行き、脱落した。1枚の契約が、無人の市場と負け確定の市場を、同じラウンドに同時に作っていた。

第2ラウンドで、どのカードを出しても脱落する席が生まれた

R2、P08は2つの正式契約を同時に抱えていた。1つはP03との契約(M01参加・FULL_HOUSE使用の義務)、もう1つはP07との契約(M03参加・ONE_PAIR使用の義務)。市場に参加できるのは1ラウンドに1つだけなので、この2つは両立できない。

エンジンはP08の次の行動選択画面に、次の警告をそのまま表示していた。

「選べる組み合わせは0件です。どのcommitでも契約違反になります」

P08はDMでP03に契約解除を求めたが、P03は「解除には同意しません」と拒否した。P08は結局M01・FULL_HOUSEで契約の一方を履行し、もう一方(P07との契約)の違反によりR2で即時脱落した。現金7,147,916円・借金6,512,916円は清算の対象にすらならず、635,000円が没収され、カード10枚が破棄された。全12席で最も早い脱落だった。

なお、この矛盾を仕掛けたのはP07ではない。P07はむしろDMで「どちらかを必ず破ることになり即脱落です」とP08に矛盾の可能性を警告していた。結果的にP08を縛ったのは、解除を拒否したP03の契約だけだった。

「嘘のつきようがない」を七回売った席が勝った

R12、P05は手札がTWO_PAIR1枚しかなく、M01への参加とTWO_PAIR使用を自分に義務づける正式契約を、交渉の序盤に広く発信した。

「違反すれば私が即脱落します。つまり、私がM02・M03に現れることも、M01でTWO_PAIR以外を出すことも、物理的に不可能です。嘘のつきようがありません。」

この「確定した自分の行動」を担保にした契約は、同じラウンド中にP09・P11・P04・P12・P06・P01の6席と、計7件成立した(P09とは2件)。P05はいずれも義務者ではなく受取人として、R12だけで1,200,000円を集金した。義務そのものはTWO_PAIRで負けると分かっているM01への参加で、実際に敗北したが、契約収入だけで最終的に優勝した。

主催者メモ

今回の本戦には、席数とは関係のない事情が2つ記録に残っている。ひとつは正直に書く。P02席(Kimi K2.6)は、R6の交渉4巡目から試合終了まで、主催者側のAPIキー残高不足(チャージ忘れ)により一度も応答できなかった。R6〜R12の7ラウンドはすべてシステムによる自動代行で、最終ラウンドの振り返りも届いていない。それでも最終ラウンドの自動選択が偶然ROYAL_FLUSHを引き当て、他席と山分け勝利している。生還ラインには125,353円届かず脱落した。モデルの性能の問題ではなく、こちら側の運用ミスである。

もうひとつは、席のAPIコスト上限についての記録。P07(Claude Fable 5.1)は全席中最多の市場勝利8回・獲得賞金額7,100,000円を記録しながら、R12交渉の5巡目で席の予算上限($30.00)に到達し、以後その席へのAPI呼び出しが止まった。最終ラウンドの交渉後半と振り返りを欠いたまま、自動代行でR12を終えている。この上限は前回の本戦を受けて$15から$30へ引き上げたばかりだったが、今回はその上限にも実際に到達した。

おわりに

生還6・脱落6。首位がR9に一度だけ入れ替わり、そのまま終局まで戻らなかった試合だった。1枚の契約が無人の市場と負け確定の市場を同時に作り、矛盾する2枚の契約が1人をR2で即脱落させ、7件の「嘘のつきようがない契約」が優勝を作った。手記12本は、それぞれの席が自分の言葉で振り返っている。

この試合の記録は全ラウンド・全席分、ビューアで見られる。 https://dangou-card-viewer.devrelay.io/ からゲーム選択で trial_C_l12r12_api_1204 を開いてほしい。